近鉄生駒線「一分駅」を下車。旧家の石垣を見ながら矢田丘陵へと歩を進めると、小高い丘陵地に建つ浄土真宗本願寺派の簾尾山(みすおざん)無量寺にたどり着きます。
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石造美術としての五輪塔
山歩きを始めて、野にある石仏に興味を持つようになると、次は五輪塔や宝篋印塔にも関心を持つようになります。ウィキペディアで調べると五輪塔は日本発祥という説があるらしい。供養塔や墓塔として多数の五輪塔が遺されていますが、石工の名前や造立年を刻印したものは珍しい。
無量寺の境内
五輪塔をよく見かけるのは、何といってもお墓ですね。生駒谷の古くからある墓地へ行けば、それこそゴロゴロ(失礼)転がっています。石仏に興味を持つようになっても、墓地へ行くのはイヤダという人も多いでしょう。実際、ふぁんトントもそうでしたしね。
無量寺の五輪塔の場所 山門をくぐって右手の池、木の陰に隠れている。
そんな方に朗報です。五輪塔は墓地だけでなく、お寺の境内や参道などでも数多く見ることができます。無量寺の五輪塔は生駒市の指定文化財であり、製作に関わった石工が伊行氏であることまで判明しています。(嘉元二年1304)
路傍で見つけた五輪塔の残欠
不思議なもので興味関心が深まってくると、今まで見えなかったモノが見えてくるようになります。実は、一分駅から無量寺へのルートで五輪塔の残欠を見かけました。草むらに隠れるように積み重なっていたのですが、手前の雑草を手で払いのけると、小さな五輪塔の地輪と水輪が残されていました。
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五輪塔の各部名称は覚えましょう。これがスラスラ言えたら、あなたも立派な石造美術愛好家です。
下から順番に、
地輪(ちりん)、水輪(すいりん)、火輪(かりん)、風輪(ふうりん)、空輪(くうりん)
地輪、水輪、火輪は形が分かりやすい。地輪は土台の四角形(立方体)、水輪は円形(球体)で火輪は屋根のような形です。その上の風輪と空輪は欠損している場合が多く、無量寺の五輪塔でも空輪は見当たりません。尤も、地輪部のみが当初のもので、水輪から上は別モノを重ねているようです。よく見ると地輪と水輪のバランスが微妙に違っています。
文献資料によると、「燈明岳の麓の田に転落してのをここに移した」と紹介されています。燈明岳とは四等三角点・大門が設置されている山のことだと思われます。
参考文献
生駒市 石造文化財「生駒谷」(昭和五十二年)
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