南垣内東入口の石造遺物(平群町久安寺)

 

久安寺南垣内(現在の平群町久安寺2100番付近)の東入口付近は、七倉を経て信貴山奥ノ院(信貴畑)に通じる旧道が通じていました。付近にある石造遺物のいくつかを紹介しましょう。

 

ストリートビュー - Googleマップ
久安寺案内板の向かいに阿弥陀さんが祀られています。

 

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南垣内の標高は約350mある。

 

船形阿弥陀座像(「南逆修講中」と刻む)

 

阿弥陀さんの後方に生駒山の景色が広がっていて壮観です。つい手を合わせるのを忘れて見入ってしまいます。文献資料によると涎掛けの下で合掌されているようです。

 

旧道であったことを示す自然石の道標
後方にコンクリート製の覆い屋がある。

 

阿弥陀さんの向かいにある案内板の地図で場所を確認しながら、東の方向へ進んでいきますと、十一面観音さんを祀った覆い屋が見えてきます。

 

船型十一面観音立像
久安寺周辺ではコンクリート製の屋形が多くみられます。

 

屋根は辛うじて木製なんですが、周囲はコンクリートブロックを積み上げていることが一見してわかります。木の屋形より丈夫で長持ちでしょうけど、なんとなく風情がよくないですね。

 

道しるべを兼ねた十一面観音さんです。

 

観音さんの右肩から、「左米尾山」と刻んています。米尾山とは焼米が出土すること知られた信貴山奥ノ院のことですね。

 

蓮台にも注目

 

蓮台の下に六角形の台座があり、そこににも銘が刻されています。供花でよく見えませんが、「法界」「明和六年己」(1769)などが読み取れました。文献資料によると、他に「施主 三平」とあるようです。

 

船型十一面観音立像の横顔

 

少し横から近づき、よくよく見ると、光背部分に損傷痕のようなものが走っています。道しるべだとすれば、かつては野ざらしだったのでしょうか。

 

船型十一面観音立像の正面

 

正面から見るとそっと目を閉じた細面の観音さんに安らぎを感じました。この日は35度を超す猛暑日。コンクリートの覆いからヒンヤリした空気が頬に伝わりました。観音さんのご慈悲に感謝して次へまいりましょう。

 

  • 訪問日[2015.07.20]

  • 参考文献
    奈良県生駒郡平群町石造文化財 平群谷(平成三年)

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