現在の国道308号は暗越街道として知られ、休日ともなると自動車、バイク、自転車などに加えて二本の足で歩くハイカーで賑わいます。街道沿いには旅人を出迎える石造遺物が多く散在し、結構な名刹が並んでいます。
石仏寺・阿弥陀三尊(2015.05.15撮影) |
藤尾町の石仏寺は石工「伊行氏」の手による秘仏阿弥陀三尊が有名、資料においても詳細に記されています。訪問した日は生駒市体育協会主催のイベントが行われており、案内の看板が出ていました。
石仏寺(生駒市藤尾町) |
石仏寺 - Googleマップ
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境内の石造遺物は無料で見学できます
石仏寺境内の石造遺物群 |
本堂内で大切に管理されているご本尊は拝観料を支払えば拝することができるようです。実は、昨年の同時期に無料見学会に参加する機会があったので、今回は境内の石造遺物を鑑賞することにしました。拝観料をケチったワケではありませんよ。昨年は天気が良くなく、ゆっくり境内を見学できなかったからですよ。ちゃんと証人もいますから。(ちょっとしつこいなぁ)
生駒市指定文化財に指定された伊行氏関連石造遺物群(石仏寺:藤尾町)の現地説明会に行ってきた。
さて、境内の石造遺物を順に見ていきましょう。
観音立像(江戸中期) |
元文三年の銘が刻されており、資料によると凝灰岩製で西国三十三所順禮供養塔であるとのこと。
永禄名号板碑 |
総高1.3m、永禄元年の紀年銘が刻されており、中央に「南無阿弥陀佛」の名号を、向かって右側に「六斉念佛十三人居念佛十二人」と刻まれているようですが、資料で紹介されている写真よりもかなり風化が進んでいる様子でした。
種子三尊板碑 |
先の名号板碑よりも少し背の低い自然石に阿弥陀(上)、観音(右)、薬師(左)の三尊を種子で刻んでいます。紀年銘は元亀元年とあり、同じく戦国の世に造立されたモノですね。「死」が日常に迫っていた世相を今に伝える遺物です。
五輪塔(鎌倉時代) |
境内が駐車場を兼ねているので撮影に苦慮しました。入り口付近、街道にほぼ接するように置かれた立派な五輪塔は、鎌倉時代の造立と推定されており、本尊の阿弥陀三尊と同時期のモノかもしれません。これほど均整の取れた、それでいて保存状態の良い五輪塔はなかなかお目にかかることはできません。ご本尊を拝することができなかった場合は、せめて、この五輪塔だけでも手を合わせましょう。
参考文献
生駒市 石造文化財「生駒谷」(昭和五十二年)
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