くろんど池に端を発する富雄川、やがて九頭神川と合流し高山竹林園を東に見て南下します。目的の大庵寺は井上の地蔵さんとバス停「大北」との中間地点にありました。ちなみに「大北」は「おぎた」と読みます。
大庵寺 - Googleマップ
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今は寂しい廃寺跡
Googleマップのクチコミにも書きましたが、ここは”まごうことなく”廃寺です。しかも参道付近から雑草がはびこりちょっと近寄りがたい。石仏ファンを惹きつける何かがなければ、地元の人以外で立ち寄ることはないでしょう。
宝篋印塔(江戸期) |
石段を上がると相輪部が破損した江戸期の宝篋印塔が出迎えてくれました。境内跡地はちょっとした高台になっており、フェンス越に高山町の田園風景が楽しめました。
広場のような大庵寺境内跡地 |
丸彫如意輪観音坐像(天明四年) |
傍らにある小さな祠内には丸彫観音坐像(如意輪観音)が祀られていました。天明四年の銘があり基礎部に「那智山」などの文字がはっきりと読めます。
大庵寺石造遺物(境内西面) |
さて、この廃寺跡を魅力的な場所にしているのは、何といってもコチラ(上掲)の石仏でしょう。左に馬頭観音、右に石がんの地蔵石仏。
石がんにはめ込みされた地蔵立像 |
舟形に彫られた石がんの中にピタっとはめ込まれた地蔵石仏はとても珍しいモノであるとのこと。かなり風化が激しくて頭部がなければ、石仏であることさえも分かりかねるでしょう。
不空羂索観音(地元では馬頭観音と呼ぶ) |
最初、馬頭観音と紹介しましたが、専門家や愛好家の間では「不空羂索観音」であるとする説が大勢を占めています。不空羂索観音とは「ふくうけんさくかんのん」または「ふくうけんじゃくかんのん」とも読み、資料によると、奈良南園堂の本尊が不空羂索観音であり、当地と奈良の関連性からもその信憑性を裏付けると云います。
不空羂索観音 |
しかし、不空羂索の読み方が分かっただけでは面白くない。どんな意味かと調べてみると、「不空」とは空しからず(字の通り)、「羂索」とは鳥獣魚を捕まえる縄を意味するのだとか。『溺れる者は藁をも掴む』と言いますが、『獲物を捕まえる縄でもいいから掴まって助かりたい』という救済への強い願いが込められているのでしょうか。あまり妄想を強くして長居しますとヤブ蚊に捕まりますからご注意なされてください。
参考文献
生駒市 石造文化財「生駒谷」(昭和五十二年)
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