東口地蔵尊(近鉄大阪線・法善寺駅前) |
「関西石仏めぐり/創元社・清水俊明著」(以下、本書と言う)は平成9年(1997)に出版された石仏ファン必携のガイドブックです。出版から20年を経ても尚、石仏ビギナーにとってはバイブル的存在で、ガイドブックにありがちな内容が陳腐化することもありません。
古本でも入手困難、アマゾンでは10倍以上の高値となっています。
今回から本書で紹介された関西一円65コースの中から「柏原市山麓部」を数回に分けて取り上げてみたいと思います。
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十三仏板碑を探して
石碑から平成11年に移築されたらしいと分かる |
出版から20年も経てば周囲の様子が変わっても不思議ではありません。本書には「近鉄の法善寺駅から少し東に行った左手の小堂内」(本書より引用)と紹介されています。以前は駅から山手側にあったようですね。
十三仏板碑・寛文四年(1664) |
これまで生駒山系の各地で見てきた十三仏板碑と比べて保存の状態は上々です。やはり、堂内に安置されて大切に扱われてきたからでしょう。最上部に天蓋と虚空蔵尊を配し、その下に三列四段の尊像を彫り刻んでいます。最下部の蓮台も含めて、全体的に丁寧な造りであることが窺えます。
上部 |
シロート判断ですが、一尊ずつよく見るとちょっと表現に稚拙さを感じてしまいます。風化による摩耗がそう感じさせるのでしょうか。省略された感じが否めません。保存状態が良すぎるのも困りモノですね。
下部 |
しかし撮影は困難を極めました。お堂の格子戸は施錠ではなく涎かけで固定されていました。外すと元に戻すのが厄介なので、格子戸に手を突っ込んでの撮影を行いましたが、ビミョーに距離が近くて、全体を正面から写すのがムツカシイ。仕方なくやや斜めから引いて撮影しました。
格子戸に涎かけが括り付けてある。 |
地蔵堂はここから西へ行ったところにある壺井寺が管理されているようです。名称は地蔵尊で中に祀られているのは十三仏板碑、そして堂前にはお百度石が置かれています。いろんな信仰が混ぜ合わされていて、これをナニ折衷と呼ぶのでしょうか。
お百度石のある十三仏板碑は初めて見た。 |
柏原市内に現存する十三仏板碑などの石造遺物はここを含めて二カ所しかないと云います。せめて十三仏信仰に関する知識だけでも整理しておく必要がありますね。
柏原市教育委員会の説明板 |
参考文献
関西石仏めぐり/創元社・清水俊明著
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