医王山・瑠璃光禅寺の石仏群(柏原市山ノ井町)

瑠璃光禅寺



近鉄法善寺駅を出てすぐに踏切を渡って東へ進みます。ほどなく恩智川を横断して国道170号線に出合います。「旧外環」とか「旧外」とか呼ぶ二車線の道路はかつての東高野街道です。


堅下変電所
堅下変電所(東高野街道)



平野の交差点を左折して北進すると、右手に堅下変電所の前を通ります。変電所越しの山裾には住宅が立ち並び、その上空を巨大な鉄塔に導かれた送電線が横切っています。

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意外な紅葉スポット発見!

山ノ井町の交差点を過ぎた次の辻で右折して山手へ向かうと、山の緑に見え隠れするお寺の本堂とおぼしき大屋根が見えてきました。


柏原市山ノ井町
柏原市山ノ井町を歩く



やがて右手に立派な石段のお寺です。山門には融通念仏宗・山井寺とある。地図には記載されていないし、ストリートビューも手前100m程のところで途切れています。


ストリートビュー - Googleマップ
2017年11月撮影


山井寺
山井寺の地蔵石仏



無住ではありませんが、人の気配がしないのでお世辞にも広いとは言えない境内の片隅あったお地蔵さんだけ撮影させていただきました。もちろん、詳細は不明です。


瑠璃光寺石棺仏
瑠璃光寺石棺仏(中央、如来坐像・鎌倉時代初期)



瑠璃光禅寺に着くと開け放たれた小堂内に三体の石仏が安置されていました。資料には「二体の石仏がある」とされているので、近年新たに預かりがあったのかもしれません。


瑠璃光寺石棺仏
瑠璃光寺石棺仏(左、菩薩坐像(頭部消失)・藤原時代)



如来坐像の左手ある頭部を欠損した菩薩坐像は、先の如来坐像の脇侍と考えられており、藤原時代の古い石仏とのこと。柔らかいなで肩、体の傾き加減、どこかで見たことがあるような気がします。


瑠璃光寺石棺仏
瑠璃光寺石棺仏(右、山型二尊仏)



如来坐像の右手にある山型(或いは舟形)の二尊石仏も、なかなか味わいのあるものでした。ちなみに、これは石棺仏ではありません。


石棺仏(如来坐像)
石棺仏(如来坐像)をちょっと斜めから



右手の施無畏印がマンガチックにくるっと曲がっている様が印象的です。ちょっと前かがみなのは屋根形の石棺材を利用しているからで、上部には縄掛突起が見られます。香芝市・正楽寺の線刻阿弥陀像が橋石として使われていたように、この石仏もまたかつては野辺に半ば埋もれていて、農具や刃物の砥ぎ跡が残っているとのこと。砥石替わりだったのですね。


若倭姫神社
若倭姫神社



さて、一通り石仏を鑑賞した後で境内を見て回りました。南に隣接して建つ若倭姫神社などを見て回るうちに、ここはきっと秋には素晴らしい紅葉を鑑賞できるに違いないと確信しました。


宝篋印塔
宝篋印塔



さらに、本堂前に置かれた宝篋印塔は、高安山の山麓部で見かける江戸期のモノとは違って、古式を感じさせます。基礎から下の台石部分は後補されたものでしょう。隅飾にやや角度が付いているものの、神光寺などで見たものとは明らかに違います。秋の紅葉までまだ時間があるので、じっくり勉強することにいたしましょう。


  • 訪問日[2016.05.02]

  • 参考文献
    関西石仏めぐり/創元社・清水俊明著

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