有里せきの地蔵立像(生駒市有里町)

京みち(京街道)

生駒川(竜田川)の西側を南北に生駒神社から暗越街道へと繋がる道を「京みち」と呼び習わしています。京みち(京街道)と暗越街道が交わる四辻に関所が設けられていたと云います。

せきの地蔵
せきの地蔵(有里町)、関屋の地蔵とも呼ぶ


関所があったとされる場所には、地蔵さんを祀る祠のようなモノが建てられています。「ようなモノ」と言うには、ちょっと理由がありました。

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関所の「関」が転じて「咳(せき)」とな


せきの地蔵
せきの地蔵


真正面から見ると、お地蔵さんの喉元にトタン屋根が突き刺さりそうですよね。ちょっと窮屈じゃありませんか?よく見るとお地蔵さんは青天井、屋根はお供え台やお参りする人のために設置されています。

せきの地蔵
せきの地蔵


この地は有里村の入口にあたり、南に輿山墓地、西北には竹林寺・興融寺・円福寺と街道筋の名刹に通じています。交通量も多かったと推測できます。

せきの地蔵
せきの地蔵


資料によると「相当古い秀作」とだけ記され、紀年銘はおろか造立年代も定かではないようです。左手の宝珠がほとんど風化していることからも古さが窺えますね。

せきの地蔵
せきの地蔵


しかし、見れば見るほど味わい深い地蔵立像です。像高は1.14m、光背幅0.56mと記されています。

せきの地蔵
せきの地蔵


光背部分の右側が斜めに欠損していますが、お地蔵さんの頭部は無事だったようです。後年は「関の地蔵」が転じて「咳(セキ)」の地蔵として、病気平癒で信仰を集めておられたようです。関所は無くなっても、新しいお役目を果たされたようで、私たちも見習うべき教訓があるように思います。


  • 訪問日[2016.05.14]

  • 参考文献
    生駒市 石造文化財「生駒谷」(昭和五十二年)
    生駒の古道-生駒市古道調査-(生駒民俗会、平成二十六年)

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