「元山上」とは、修験道の聖地山上ヶ岳の元祖であることを意味し、役行者(小角)が最初に修行場としたことに由来します。千光寺の正式な寺号を「鳴川山」と称し、先年、山門が新しくなりました。
中門前の道標(千光寺) |
中門の前には宝山寺を示す道標など数基の石造遺品を見ることができますが、中でも向かって左手にある道標には、絵文字で「左 すぐ瓢箪(絵文字)山」と刻されています。瓢箪の文字は画数が多すぎるためでしょうか。絵文字は日本古来の文化だったのですね。蛇足ながら「すぐ」とは、「まっすぐ」の意味で「直進せよ」ということ。「もうすぐ」の意味じゃありませんよ。瓢箪山は鳴川峠を越えた東大阪市四条町ですから。
一願一佛堂 - Googleマップ
スポンサーリンク
一願一佛堂は藪の中
一願一佛堂(要不動講)への道標 |
千光寺から農道を経て行場へ向かう途中に、「一願一佛堂」を示す木製の道標が立っています。かつては長閑な棚田風景が広がる場所だったのでしょう。現在では一部が放棄地となったために草藪が蔓延る地帯となっています。行く手を阻む雑草に、一瞬ひるみながらも果敢に突入しました。
一願一佛堂(要不動講)、宝篋印塔(左)、金剛宝地蔵菩薩(右) |
藪をかき分けて10m程進み、突然視界が開けると畳にして十畳ほどの空間が現れます。その最奥に祠、そして両側に宝篋印塔と金剛宝地蔵菩薩が祀られていました。
一願一佛(石碑) |
祠内には「一願一佛」と大きく刻まれた石碑が置かれるのみで、不動明王の像や掛け軸のようなものは一切見当たりませんでした。祠も含めてすべてに真新しさを感じるのが妙に印象的でした。対照的に参道を藪の中に隠している(ように見える)のは何か事情があるのでしょうか。秘密基地みたいですね。
ヤブ漕ぎ |
この雑草をもう一度かき分けて本道へ戻るのかと思うとゲンナリしますね。ヤレヤレ。帰路でマムシに遭遇しないことを「一願」したのは言うまでもありません。
参考文献
奈良県生駒郡平群町石造文化財 平群谷(平成三年)
0 件のコメント :
コメントを投稿